懐妊秘書はエリート社長の最愛妻になりました
つまり成島は、黒木の身辺整理をしなければならないと言いたいのだろう。秘書との恋はスキャンダルだと。
「黒木副社長にふさわしいご令嬢との縁談もいくつか持ち上がっております」
成島の言葉が胸を鋭く貫き、瞬間的に呼吸がうまくできなかった。
「副社長がアメリカ出張で不在の間に姿をくらませていただきたいと思います」
「えっ、いなくなれってこと、ですか……?」
成島は涼しい顔をしてうなずいた。
「こちらですべて手配しますので、立川さんはなんの心配もいりません」
「ですが、仕事が」
思わず食い下がる。仕事も投げ出せというのか。
「ご心配には及びません。替えの秘書は見つけてあります」
「そんな……」
横暴な提案をしているような様子はまるでなし。成島はまるでロボットのように淡々と続けた。