懐妊秘書はエリート社長の最愛妻になりました
亮介の瞳が〝どうする?〟と揺れる。
決定権は里帆の手に。
まったく触れてもらえず、この十日は不安を感じていた。里帆も亮介を求めていたのは紛れもない事実。
先生が問題ないと言っているなら……。
イエスの意味を込めてうなずくと、亮介は里帆の顎を持ち上げてそっとキスをした。
羽毛で撫でるようにしてかすめた唇が、再び重なる。優しくこすり合わせ、里帆の感触をたしかめるようにした後、亮介は舌先で唇をくすぐった。
口を開く合図の懐かしさに、胸の奥が小さく疼く。絡み合った舌の熱が体にも伝染して、里帆から堪えるような吐息が漏れた。
亮介は壊れ物を扱うみたいに里帆をベッドに寝かせ、お腹を避けて自分も横になる。里帆のベビードールをたくし上げ、丸みを帯びたウエストラインにキスを落とした。
祈りを込めるかのように長い口づけの後、里帆の唇にも同じようにする。
「心配するな。優しくするよ」
うっとりしてしまうほど甘い囁き声に、里帆は黙ってうなずいた――。