懐妊秘書はエリート社長の最愛妻になりました
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ゆっくりと明けた翌朝。カーテンの隙間から淡く差し込んだか弱い光が、ベッドに陰影を作っている。
心と体が真綿で包まれているような、とても優しくてあたたかな感覚。こんなに満ち足りた気持ちになるのは妊娠がわかってから初めてかもしれない。
里帆は穏やかに始まった朝から抜け出せずに、亮介の腕の中でまどろんでいた。
久しぶりに亮介と体を重ねた昨夜。少しずつ溶け合っていったふたりの体温に胸が熱くなり、こみ上げる懐かしさから涙を零さずにはいられなかった。
半年の時を経て、亮介を感じられる幸せはなににも代えがたい。
うしろから里帆を抱き込むように回された彼の腕がもう逃がさないと言っているようで、一夜明けた今も心を甘くくすぐった。
亮介の手がゆっくりとお腹へ移動し、円を描くように優しく動く。
もう起きてるの?
振り返ろうと思った矢先。
「今、動いた」
亮介の声が耳もとで弾んだ。