懐妊秘書はエリート社長の最愛妻になりました

「動きましたね」


蹴ったか、パンチか。お腹がポコッとなったのは里帆も感じ取れた。


「すごいな。ここに本当にいるんだ」


あたり前になりつつあった胎動は、亮介にとっては初の出来事。感心したようにつぶやいた。


「いるんですよね」


日々の成長を確実に遂げ、この世に生まれ出る日を待っている。


「そういえば、昨夜はこれまでになく激しく動いていたんです」
「え? 俺と里帆が愛し合ってる最中に?」
「はい」


お腹の中ででんぐり返しでもしているみたいだった。亮介とひとつになってからは何度となくお腹を押し、まるで抵抗するかのように。


「お腹の子の性別は?」
「まだわからないです。エコーのときはいつも足をぎゅっと閉じちゃって」
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