懐妊秘書はエリート社長の最愛妻になりました

「こちらの野崎(のざき)徹也(てつや)が本日付で社長秘書として配属となりました」
「の、野崎と申します! よろ、よろ……よろしくお願いいたします!」


おいおい、大丈夫か。
思わずそう突っ込みたくなる自己紹介だった。


「なんの話も聞いていないが? そもそも秘書は必要ないと言ったはずだ。何度も同じことを言わせるな」
「お言葉ですが、それは私も同じです。対外的に秘書は必要だと会長も仰せですので、今日はこうして強行突破させていただきました」


会長という後ろ盾をちらつかせ、亮介をうなずかせようという魂胆らしい。


「立川さんからも、くれぐれもよろしくとお願いされています」


成島が、さらに里帆の名前まで出す。


「男性ならば社長もよろしいのではないかと」


これに反応したのは野崎だった。


「えっ、黒木社長ってそっちの趣味が……?」
< 210 / 277 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop