懐妊秘書はエリート社長の最愛妻になりました
「こちらの野崎徹也が本日付で社長秘書として配属となりました」
「の、野崎と申します! よろ、よろ……よろしくお願いいたします!」
おいおい、大丈夫か。
思わずそう突っ込みたくなる自己紹介だった。
「なんの話も聞いていないが? そもそも秘書は必要ないと言ったはずだ。何度も同じことを言わせるな」
「お言葉ですが、それは私も同じです。対外的に秘書は必要だと会長も仰せですので、今日はこうして強行突破させていただきました」
会長という後ろ盾をちらつかせ、亮介をうなずかせようという魂胆らしい。
「立川さんからも、くれぐれもよろしくとお願いされています」
成島が、さらに里帆の名前まで出す。
「男性ならば社長もよろしいのではないかと」
これに反応したのは野崎だった。
「えっ、黒木社長ってそっちの趣味が……?」