懐妊秘書はエリート社長の最愛妻になりました


「あとは社長が思うままにお育てになるのがよろしいかと思います」


彼の才能を花開かせるのも散らせるのも、亮介次第だと言わんばかりの言い方だ。
これまでさんざん断り続けてきた亮介への仕返しといったところか。


「使い物にならなければ、それまでだぞ」


里帆のように細やかな気遣いができるかどうか。それを見極めてからでもいいだろう。
世間では真新しいこともないだろうが、亮介にしてみたら物珍しい男の秘書でもあり、成島との妥協点を受け入れることとなった。


「精いっぱいがんばりますので、どうぞよろしくお願いいたします!」


腰を直角に折り曲げた野崎に、亮介も「よろしく」と返す。


「これから会長と中期三年計画の打ち合わせをするから、キミも同席するように」


ここ二週間ほどをかけ、各部の部長たちと擦り合わせをしてきた三ヵ年計画を会長に報告することになっている。転換期を迎えた商業施設ビジネスを中核とするマリオスターにとって、大事な打ち合わせだ。
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