懐妊秘書はエリート社長の最愛妻になりました


「承知いたしました!」
「もう少し声のトーンを落としてくれ」


いちいち反応が大きな野崎に忠告し、亮介は彼を従えて向かいにある会長室のドアを開けた。

打ち合わせを予定していたため、隆一は自身のデスクではなく、ひと足先にソファのほうに座っている。野崎を簡単に紹介し、早速計画のすり合わせだ。

まずは部長たちと話し合った今後三年の経営計画をまとめたものを隆一へ手渡した。A4の用紙三枚にわたる資料である。

一九六九年に我が国初の本格的郊外型ショッピングセンターがオープンしてから五十年あまり。大型商業施設は変革すべき第二創業の時を迎えている。
というのも、大型店立地法の新設届け出数は二〇一二年の七三八ヶ所をピークに減少傾向にあり、逆に閉鎖数は緩やかな増加傾向を見せているのだ。


「今後は新規開発を抑えて、既存施設の増床やリノベーションに力点を置いていくべきかと考えております」
「ほう。それはなぜだ」


隆一は深く唸ってから亮介に問いかけた。
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