懐妊秘書はエリート社長の最愛妻になりました
「社長の奥さん、めちゃくちゃかわいいですね」
「あ、ありがとうございます」
不意打ちで褒められ、一応微笑み返す。
「おめでただって聞きましたけど、そんなふうに見えませんね」
「そうですか? この頃は結構大きくなってきたんですけど」
そう言って自分のお腹に手をあてて丸みを見せると、松崎は「ほんとだ。ちょっと触ってもいいですか?」と言って里帆の隣に移動してきた。
遠慮のない振る舞いに里帆が体を強張らせると、すかさず亮介が野崎の頭にゴツンと拳を振り下ろす。
「イテッ」
「いい加減にしろ。誰が里帆に触っていいと言った?」
「す、すみませんっ」
頭を押さえながら何度もぺこぺこと頭を下げる。
「とっとと教わって、さっさと帰れ。でなければ今すぐ秘書を降りろ」
「そんなつれないこと言わないでくださいよぉ」
今度は情けない顔で亮介に取り入った。