懐妊秘書はエリート社長の最愛妻になりました
思わず里帆が笑う。亮介が言っていた通り、ちょっとお調子者の気があるみたいだ。
「ちゃんとやる気はあるんです」
「じゃあ、そのやる気とやらを俺に見せてもらおうか」
亮介は里帆と野崎の間に割り込んで座り、彼を向かいのソファへ追いやった。
これでようやく始められそうだ。
里帆は、亮介の秘書をしていたときに書き留めておいたノートを開き、野崎には要点をまとめた用紙を広げさせた。
「主要な取引先のトップの方たちの簡単な説明と、野崎さんも知っておいたほうがいい情報をまとめておきました」
あくまでも里帆が在籍していた間に亮介と会った人たちだけになるが。
野崎はそれをぺらぺらとめくり、「すごいですね」とつぶやいた。
「好きな食べ物とか趣味まで書いてありますよ」
「全員というわけにはいきませんし、挨拶の流れで先方がお話ししてくださったことを羅列してあるだけですけどね。好物は、亮介さんが先方と会食になったときに参考にしてお店を選んでください」