懐妊秘書はエリート社長の最愛妻になりました


「里帆さんはよくできた妻ね」
「あ、いえっ、そんなことは全然」


慌てて首を横に振る。

マリオスターの社長である亮介には、里帆や子ども以外にも社員やその家族など、守るべきものがたくさんある。
入籍はまだしていないが、妻になる里帆にもそれは同じ。会社があってこそ。陰ながらそれを支えていくのが里帆の使命だとも思っている。


「里帆さんのようなお嬢さんを選んだ亮介が、我が息子ながら誇らしいわ」
「……ありがとうございます」


恐縮するばかりの誉め言葉をもらい、里帆は恥ずかしくてならない。大きなお腹を抱えながら、肩を丸めて身を小さくした。


「お父さんにも、里帆さんが来るって知らせてあるの」
「そうなんですね。……大丈夫でしょうか」
「最初はびっくりして顔が強張ったけど、きっと大丈夫」


杏はニコニコ顔だが、里帆には不安しかない。再びお腹に鈍痛が走った。

案内されたリビングに隆一の姿を見つけ、体が一瞬で硬くなる。
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