懐妊秘書はエリート社長の最愛妻になりました
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事前に病院へ連絡を入れていたため、医師の診察の後、里帆は病室へ案内された。本陣痛まではそこで待機するようにとのことだった。
亮介が事前に予約していた特別室は、大きな応接セットもシャワールームも完備されたゴージャスなもの。ちょっとした高級ホテルとしても通るような洗練された部屋だ。
ベッドの両脇に置いた椅子に喜代と杏が座り、隆一はソファセットのほうに腰を下ろした。
前駆陣痛にも波があり、強かったり弱かったり、間隔もバラバラ。個人差はあるらしく、この前駆陣痛が出産の二週間も前から起こる女性もいるらしいから驚きだ。
里帆は、こんな痛みを二週間も抱えるのかと思うだけでクラクラしてくる。
看護師がたびたび里帆の様子を見に顔を覗かせ、血圧や胎児の心拍数などを確認していく。
波が収まっているときには普通の状態で会話もでき、喜代と杏は話し相手にもなってくれた。
「男の子ってわかっているそうね」
「そうなんです」
「名前はもう決めた?」
杏に尋ねられ、亮介と話し合っていないことを思い出した。首を横に振る。