懐妊秘書はエリート社長の最愛妻になりました
驚いたのは、ふたりとも同じ漢字を候補にあげたことだった。
「漢数字の〝一〟に〝絆〟と書いて〝いっき〟というのはどう?」
「一に絆で、いっき。……いいですね! 素敵です!」
里帆の顔もパッと華やぐ。
ふたりが同じく候補にあげたのは〝絆〟だった。ほかの漢字が思い浮かばないくらい、その字一色だったと言ってもいいほどだ。
「俺たちふたりを結んだひとつの絆。そんな意味合いだよ」
「私たち、一絆に結ばれたんですね」
「そう。一絆が結んでくれた俺たちの縁、大切にしていこう」
亮介に肩を引き寄せられ重なる唇。
一度は手放した亮介との愛。それを一絆が再び引き寄せた。
なににも代えがたいふたつの愛を、これから生涯をかけて守り抜く。
里帆の心は、そんな強い想いであふれたのだった。
END