懐妊秘書はエリート社長の最愛妻になりました
番外編~秘書室長成島の憂鬱
亮介の結婚が社内外に向けて公になり、社外からはお祝いの品や祝電が多数届き、にわかに秘書室内は忙しくなっていた。
成島もその対応に追われ、突発業務にあたる時間が増えた。
社内に至っては、亮介の相手が以前勤めていた秘書だという話が広まり、ざわつきは収まるところを知らない。
亮介が女子社員から多大なる人気を集めているせいで、一時は〝秘書の立場を悪用して社長を誘惑した〟という中傷や、それを許した秘書室への怒りまで向けられていたが、それも最初だけ。今は祝福ムードに溢れている。
いろいろな対応で気疲れしてため息をついていると、恭子がコーヒーを淹れて成島のデスクに置いた。
成島より一年後輩の恭子は隆一の秘書で、秘書室の中で一番の古株である。ワンレンのボブを耳にかけ、涼やかな目もとのクールビューティー。いかにもできる女風だ。
「成島室長、これでよかったんですか?」
どこか憐れんでいるようにも見える表情に成島が首を傾げる。