懐妊秘書はエリート社長の最愛妻になりました


「私、ずっと成島室長のことを好きだったんです」
「……え?」


話の矛先が突如として変わり、成島の頭が追いつかない。


「弱っているときはチャンスですから」


つまり、失恋した成島につけ込むと言いたいのか。
成島が呆気にとられていると、恭子は爪先立ちをして不意打ちのキスをした。唇にふわりという柔らかい感触が残る。


「……どういうつもりですか」


ドキッとしたのをひた隠しにし、あくまでも冷静に問い詰める。表面上では動じていないふりを装いながら、内なる心臓はあり得ない速度でリズムを刻み始めた。


「どういうって、弱っている人にはスキンシップが一番なんです」


恭子は、悪びれもせず可憐に微笑む。


「これからは私のことを見てください」


澄ました顔をして大胆なことをしておきながら、恭子の頬は赤く染まっていた。

挑発的なことをしておきながら、そんな初心なところを見せるというギャップに、成島は少なからず心を揺らしたのだった。


番外編END

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