懐妊秘書はエリート社長の最愛妻になりました
里帆の後に入った人なのか、三十代後半と思しき小柄な女性に「いらっしゃいませ」と明るく出迎えられた。
「すみません、一子さんはいらっしゃいますか?」
「あ、はい。ちょっとお待ちください」
女性は里帆たちにそう言って、店の奥に向かって「奥さーん、お客様ですよー」と声を張り上げた。
「はいはい」
陽気な声で奥から出てきた一子は、里帆たちを見て「あら! 里帆ちゃんじゃないの!」と花が開いたように顔を輝かせる。
「ちょっとあなた! 里帆ちゃんよ!」
興奮した声で呼ばれた幸則も慌てて出てきたため、店内が一気ににぎやかになった。
「ご無沙汰してます」
亮介と揃って頭を下げる。