懐妊秘書はエリート社長の最愛妻になりました

「なんにしても本当によかったわね、里帆ちゃん」
「はい」


一年前の自分では想像もつかない未来に、里帆は今いる。

育児はもちろん、楽しいことばかりではない。そのときどきで思い通りにならないこともたくさんある。
なかなか眠ってくれなかったり、ときにお風呂を嫌がったり。哺乳瓶の乳首を変えただけでミルクを飲まないこともあった。

でも、そばにはいつも亮介がいてくれる。彼のたったひと言の〝大丈夫だ〟で心が軽くなるのだ。ひとりで抱え込まずにいられる環境にいる自分は、本当に幸せ者だと思う。


「里帆ちゃん、また遊びにくるんだぞ? 来年の夏は三人で海水浴に来たらいい」
「それいいわね」


幸則の提案に一子が楽しそうに乗る。


「ぜひそうさせていただきます」


一絆もきっと喜ぶだろう。そんな未来の画を想像しただけで里帆はワクワクした。
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