懐妊秘書はエリート社長の最愛妻になりました
「あまり考えていなかったから、行き当たりばったりで連れていくところだったよ」
「……よかった」
思わずふぅと息を吐き、胸を撫で下ろす。
「余計なことをしてしまったかと思いました」
「助かるよ。……そうだ、気が利くといえば、お歳暮」
なにかを思い出したのか、亮介が指をパチンと鳴らす。目をパッと明るくさせた。
「はい、なにか……?」
送り先を間違えたり、商品に不手際でもあったりしただろうかと不安になる。
秘書になって一ヶ月半。自信をもつにはまだほど遠い。
「中に手紙を入れたんだって?」
「ただお品を送るだけだと味気ないかなと思いまして」
マリオスターの店舗へ出向いてギフトを選び、送る際に中に手書きでひと言添えたのだ。カタログから注文して送ってしまえば手間はないが、せっかくだから心も添えたい。