懐妊秘書はエリート社長の最愛妻になりました

「本気で産むの?」
「……はい?」
「未婚で出産しても、きっとなんとかなるって思ってない?」


まさにそうだった。
妊娠中は体調面でいろいろな制限があるが、出産さえ越えればいつもの生活に戻れるだろうと。子育てをしながら店の仕事を続けてほしいと南夫妻から言われたのも大きい。


「そもそも出産は、健常児が産まれるとは限らないの。もしも障害をもった子供を授かったとしたら?」


そんな風には考えてもみなかった。
障害児が産まれる可能性も一定の確率であると伊織に言われ、盲点を突かれた気分だ。


「たったひとりで障害をもった子供を育てていける? ううん、障害のあるなしに関係なく、この先ずっと立川さんひとりで育てられる?」


優しい表情ながら辛辣な質問をされ、里帆は言葉に窮する。


「ごめんね。責めているわけじゃないの。ただ、自分ひとりで家計を支えて子ども育てるのは、そう簡単にこなせることじゃないのだけは覚悟しておいてほしいの」
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