懐妊秘書はエリート社長の最愛妻になりました


さんざん悩んで、でも少しずつ考えが変わっていった。日を追うほどにお腹の子どもに愛着が芽生え、手離すなんて考えられないと。


「でも、やっぱり産みたいんです」


少しずつ育っている命の芽を摘むなんて、里帆にはできない。


「経済的に困難を感じるケースが多いのも承知のうえで?」
「はい。仕事に復帰できるまでの蓄えは、なんとかあります。両親はいませんが、仕事先のご夫婦がサポートをしてくださるともおっしゃっていて。保育園もきちんと探します」


伊織はふぅと息を吐き出すと、優しく微笑んだ。


「立川さんがそこまで考えているのならいいのよ。きっと大丈夫だろうってポジティブな考えを持つよりも、〝どんな状況でも乗り越えてみせる〟っていう覚悟のほうが必要なの。立川さんはそれがわかっているようね」


伊織に、「ここの病院にも病児保育があるからパンフレットをあげるわね。応援するわ」と力強く言われた。

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