懐妊秘書はエリート社長の最愛妻になりました


「ねぇ、里帆ちゃん、もしかしてお腹の子の父親って……」


一子は今ここにいた亮介がそうなのではないかと言いたいのだろう。


「彼がお店に電話をくれたのよ。ここに運ばれたって。さっきお店に来てくれてたでしょ?」


一子の目が探るように里帆の目を見つめる。


「違いますよ。さっきの方はたまたま通りがかっただけで」


あくまでも見ず知らずの人だと貫き通す。明るく言ったつもりでも、嘘をついている後ろめたさから一子と目を合わせられない。


「……そう」


一子はつぶやいたが、その顔は納得しているようには見えなかった。
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