懐妊秘書はエリート社長の最愛妻になりました
「どんな事情があるのか知らないけど、本当のことを話したほうがいいんじゃないのか?」
「そうよ。彼、何度も店に足を運んでいるじゃない」
修太朗と一子が揃って里帆を説得にかかる。
「……でも、そういうわけにはいかないんです」
亮介には亮介の未来がある。彼にふさわしい女性と結婚して、マリオスターを引っ張っていかなければならない。それを邪魔するわけにはいかない。
ひとりで産むと決めたくせに、今さら〝あなたの子どもです〟なんて卑怯だ。
「だけど、ねぇ……」
一子は修太朗に同意を求めるようにしたが、その後の言葉が続かないようだった。
「彼には知らせられないんです」
想いを吐き出すように懇願する。絶対に言えない。
項垂れた里帆の肩に一子が手を置く。