懐妊秘書はエリート社長の最愛妻になりました

亮介にとって里帆は、愛よりもお金をとった女として刻まれているはず。彼がやり直そうと言っているのは、子どもができたことに対する責任感でしかない。

そんなもので大好きな亮介を縛りつけるわけにはいかないから。


「亮介さんをもう……好きじゃないから……です」


どうかその言葉で彼がホッとするように……。そう願う以外にない。

里帆に対する気持ちが残っていない彼には、その言葉がなによりもプレゼントになるはずだから。子どもへの責任は果たさなくていい。
ところが里帆の願いも空しく、亮介はそこで引き下がらなかった。


「だからって、そういうわけにはいかない」


マリオスターを背負って立つ男は、責任感も人並み外れているのかもしれない。


「本当に大丈夫ですから」


もうこれで本当に終わりにしよう。
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