懐妊秘書はエリート社長の最愛妻になりました
交差する想い
一年前――。
「大阪って食べ物がおいしいところなんですね」
「だからといって食べ過ぎだろう」
里帆は膨らんだお腹を押さえながら、クスクス笑う亮介の隣を歩く。
食料品や衣料品はもちろん店舗設備に関するものなどを取り扱った、小売企業のための大規模な展示会が大阪であり、里帆も亮介に同行していた。
せっかく大阪に来たのだから、ホテルの食事ではなく定番のお好み焼きやたこ焼きを味わいたいとの里帆の要望で、ふたりで堪能してからホテルに戻ったところだ。
「立川さんがあんなに食べるとは思いもしなかったよ。目の前のものがどんどんキミの口に吸い込まれていくから驚いた」
吸い込まれていくというのは大げさだ。
「やだな、副社長。それじゃまるで私が食いしん坊みたい」
「実際そうだろう?」
亮介がいたずらに微笑む。