たとえば、こんな人生も
じんじんと頬に鈍い痛みと熱が広がる


「…………ひなた!?」


後ろから驚いたような声

だけど気にせず
目の前のその人をじっと見つめる

ふたりの間に割って入った私

突然現れた私にその人は
一瞬、不意をつかれたように目を見開いて

でも、すぐに眉間にシワを寄せて
不機嫌そうに言葉を寄越した


「……なんだ?お前」

「ここでの暴力は禁止してます」

「んなの知らねーよ
俺はその女に用があるんだよ」

「姉さんに何の用ですか」

「ガキには関係ねーよ
そこどけ」

「嫌です」

「……痛い目見てーのか?クソガキ」


声を返す度に向けられる苛立ちが大きくなっていく

剥き出しの敵意と怒りを前にして

それでもその場から一歩も動かない私に
痺れを切らしたその人は

私の胸ぐらをぐいっと掴んだ


「ひなた!!」


そのまま私に手をあげようとするその人
後ろで姉さんが叫ぶ

だけど私は微動だにせず
そのままじっとその人を見つめた
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