たとえば、こんな人生も
9
「…お?」

「あれ、ひな?
今日休みじゃなかった?」


休憩室の扉を開けて、ひょこっと顔を覗かせれば
ソファーに向かい合って座っていた
シン君とまこちゃんが
同じタイミングでこっちに顔を向けた


「まこちゃん、シン君、お疲れ様
お休みなんだけど、いつきさんに届け物」

「それ?中身なに?」

「お弁当。朝、渡すの忘れて」

「最近、いつき弁当持ってきてんなって思ってたら……お前か、作ってんのは」

「うん」

「あれ、もう1個ない?
それはひなの分?一緒に食べてくの?」


手に持ってた紙袋はふたつ

気付いたまこちゃんが聞いてきた


「これは……お父さんの分」


答えれば
まこちゃんとシン君は揃って目を丸くした


……まこちゃんとシン君
こういう時の表情はそっくり


いつもは似ても似つかないふたりだけど
不意に見せる双子らしい反応


心の中で笑いながら私はふたりを見返した
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