たとえば、こんな人生も

……やっぱり、全然違う…


シン君に抱き締められた時と全然違う


あったかくて安心して

それでやっぱり嬉しいって感じて

とくんとくんて心臓の鼓動が少し早まる



――……



｢……いつきさんのことは好きなんです｣


どれくらい時間が経ったか分からない

続いた沈黙を打ち破ったのは私


｢…好きだけど
それが恋愛なのか分からなくて｣

｢うん｣

｢…でも……｣


｢…私が…安心できるのは…
触れられることが嬉しいって思うのは
いつきさんだけなんです｣


｢ずっと一緒にいたいって思うのも｣



『お前が一番傍にいてもらいたい相手は
いつきだろ』


……その通りだった


『ひなが甘えたい相手は
甘えられる相手はいつきじゃないの？』


そう

いつきさんの前だと、私はわがままになる



｢いつきさんがいなくなるのは嫌なんです
いつきさんが離れていくのも｣


ぎゅっといつきさんの腕を抱き締めて
消えそうな声で今の自分の気持ちを吐き出す


｢……ずっと、いつきさんの傍にいたい｣


見上げて伝えれば
いつきさんは真顔で私を見下ろして


それから