たとえば、こんな人生も
「うん。あんまり」


確かに綺麗な顔だとは思う

作り物かと思うくらいに
顔のパーツが全部整っていて

スタイルも声も浮かべる表情も、全部が完璧で
そこにいるだけで絵になるような人だ

世の女性が惹かれるのも分かる


だけど、それは客観的に見て


「綺麗な人だなとは思ったよ」


それ以外、特に思うことはなかった


「ま、ガキにはわかんねーか
色気云々の話は」

「む。シン君には言われたくない
見た目、子供のくせに」


自分が色恋に疎いのも
幼いのも、確かに自覚はしてるけど

馬鹿にするようなシン君の言葉に
かちんときて反論


成人済のシン君
だけど、その外見は中学生並み

身長もちっちゃいし、顔つきも幼い
声だって全然低くない


「いいんだよ。俺はこの外見気に入ってる
可愛いとかで勝手に女が寄ってくるから」

「中身、ただのエロおやじのくせに」

「男はみんなこんなもんだ」


何を言ってもシン君には効かない
痛くも痒くもないって顔

言うだけ無駄と諦める
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