たとえば、こんな人生も
「……はやく、迎えに来てくれないかな
お母さん」


ぽそりと、地面に向かって独り言を呟く



痛いとか苦しいとか辛いとか
もちろん感じる

だけど、その感覚は年々鈍くなって


暴言を吐かれようが
殴られようが
刃物で切りつけられようが


反撃しようとか
逃げようとか
助けを求めようとか

そんな事を思うことはなくなって



ただ思うのは

あの人は、とてもかわいそうな人だってこと

憐れな人なんだってこと



そんな環境に置かれた自分も

どうしようもなく憐れで

ままならない人生を生きてる



だから、毎日思う

こんな人生早く終わればいいのにって


早く、大好きだった
お母さんのところへいきたいって
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