たとえば、こんな人生も
「ひなたちゃんの事情は聞いたよ
だけど、それでも
君はあの場所にいるべきじゃないって
俺は思ってる」

「…………私が、子供だから?」


何も知らない
何の力もない
弱い子供だから?


「違うよ。君は「普通」に生きれる子だから」


いつきさんは真剣な表情で話始めた


「この世界で生きる人を馬鹿にしてるわけじゃないし、蔑ろにしてるわけでもない」


「だけど、この世界は女性に優しくない」


「心を病む人もいれば
身体をぼろぼろにする人
おかしな奴に執着されて、襲われたりする人
……挙げればきりがない」


「そういう人もたくさんいるんだ」


「レイジさんの店は「姫」を守るために
あらかじめ受付でお客さんにルールを課してるし
ガードマンも傍に置いてる」


「だから、君の姉さん達は比較的守られてるけど
他所の店ではそういうのがなかったりする」


「そんな辛い世界で生きていかなくても
君は平和な世界で生きていける」


「父親の件だって
君が声をあげればすぐに解決する」


「未成年は法に守られてるから
心配しなくても普通に生活できるんだよ」
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