たとえば、こんな人生も
4
それから

いつきさんと一緒に
キッチンに立つ毎日が始まった


いつきさんは姉さん達と同じで基本的に
夜出勤、朝方帰宅

だから、夜ご飯と朝ごはんを一緒に作って
食べることになった


失敗する前に
いつきさんが上手くフォローしてくれるから
毎回なんとか無事に料理は完成

見栄えはあんまり良くないけど
味は普通に仕上がってる


……そう。味


不思議な事に、いつきさんの家に来てから
ちゃんと食べ物の味がして

量は少ないけど
毎回ちゃんとごはんを食べるようになった



「うん。料理に関しては
もうひとりでも大丈夫そうだね」

「本当ですか?」


試しにひとりで
料理を作ってみることになった今日


相変わらず手際も見た目も悪かったけど
傍で見ていてくれたいつきさんからOKが出た

味に関しても
おいしい!って感じには出来なかったけど
普通に食べられるものには仕上がった



「ひなたちゃんは覚えが早いね
短期間でここまで出来るのはすごいよ」

「うれしいです」

「でも、お菓子作りの方は
もう少し慣れてからの方がいいかもね
意外と料理より難しいから」

「はい」
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