たとえば、こんな人生も
「いつき、大丈夫かい?
かなり飲まされたみたいだが」

「大丈夫です」

「そうか。では失礼する
ひなた、君も早めに休みなさい」

「はい」



笑顔を浮かべて
オーナーはシン君を連れて帰っていった




……



しん、と静まり返ったリビング

少し寂しい気持ちになりながら
私は隣のいつきさんに顔を向けた



「……いつきさん、本当に大丈夫ですか?
なんか、少しふらついてる…」

「……ちょっとヤバイかもね。飲みすぎた」



オーナーには否定してみせたいつきさんだけど
私には困ったような笑顔を返す


テーブルの上にはたくさんの空缶、空き瓶
オーナーの言うように本当にたくさん
シン君に飲まされたみたい



「ごめん、ひなたちゃん
俺、先に休ませてもらうね」

「はい」

「片付けとかしなくていいから
ひなたちゃんもお風呂入って休みな」


こくりと頷けば

いつきさんはそのまま真っ直ぐ自室に向かった
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