たとえば、こんな人生も
……………いつきさん



一昨日のあの一件から

私といつきさんはぎくしゃくしてて


『普通』にしようとしたけど
どうしても意識してしまって

言葉も態度もぎこちなくなって


いつきさんはそんな私を気にして

あまり私に近付かないようにしてた


あれから一緒にごはんを作ってない

昨日も今日も

いつきさんが早めに用意して
それでいつもより早めに家を出て行ったり

私の分だけ用意して自分は食べないで
すぐに部屋に戻ったりしてるから


ここ数日、私はひとりでごはんを食べてる



「…いつきさんは悪くないの」



たくさん謝ってくれたけど
いつきさんはなんにも悪くない


お酒のせい

あんなに飲ませたシン君が悪い


それに
不用意に男の人の寝室に入った私も悪い



「うん。原因はうちの馬鹿兄貴
いつきは悪くないって私も言ったよ
でも」



『『酔ってた』で済む話じゃないです
そんなのなんの免罪符にもならない』


『手を出した事実は変わらない
それでひなたちゃんを
怖がらせたことや傷付けたことも』



「ってね」
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