たとえば、こんな人生も
部屋に戻って

毛布に丸まって、そっと目を閉じる




……寝ちゃおう


寝てしまえば


寂しい、だなんて思わない


夜だからなんとなく寂しい気持ちになってるだけ


明日になれば


朝がくればこんな気持ちはなくなってる



……。




『うん。上手』



『そう、で火加減に気を付ける』



『美味しい?それは良かった』




……誰かと一緒に、ごはんを作って


一緒に食べて、笑い合う



殴られたり

蹴られたり

暴言を投げつけられる日々とは全く違って




あったかくて落ち着かなかった



だけど、段々



そんな毎日に馴染み始めた





忘れていた『家庭』のあたたかさを


傍に誰かがいることへの安心感を思い出していた




そんな矢先にひとりになったから



だから、今きっと……





「……」





ぎゅっと枕を抱き締めて




私はそのまま眠りについた
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