たとえば、こんな人生も
ぴぴぴぴ……



もぞもぞと布団から顔を出す


枕元のスマホを手に取って
アラームを止める


ぼんやりとスマホを眺めれば、メールが届いてた


まこちゃんからだ



『そっちに戻れるの、1週間後位になりそう』


『ひな、本当に大丈夫?』


『やっぱり
アーリやさゆさゆあたりに頼んでおこうか?』



アーリはアリサ姉さん
さゆさゆはさゆ姉さんの事





「……」




……一瞬



ほんとに一瞬だけ



顔を覗かせた寂しさに



気持ちが揺れて



『うん』って返しそうになった




「……。
……『ううん、大丈夫。ありがとう』」




送信して、起き上がる




……。



………これに…



寂しさに、慣れなきゃ



ぎゅっと胸元を握り締める



慣れて、何にも感じなくなるまで



ひたすら我慢しよう



いつまでも、まこちゃん達が傍にいてくれるわけじゃないんだから


いずれ、あの家に戻るんだから




……ずっとここには




いつきさんの所にはいられないんだから
< 84 / 177 >

この作品をシェア

pagetop