たとえば、こんな人生も
けど、ふと思い出す


「……いつきさん
……お仕事、大丈夫ですか?」


ずっとお店に泊まり込みだったいつきさん
毎日、たくさん仕事に追われてるみたいだって
まこちゃんも話してた

それなのに
突然の呼び出しにもかかわらず
私のところに来てくれた


「ああ。ちょうど一段落したから
明日帰ってくるつもりだったんだ」

「そうですか」


……良かった


「問題ないよ」と笑ういつきさんに
ほっと胸を撫で下ろす

たくさん仕事があったみたいだから
それを中断させてしまっていたらって不安だった


「ただ、今回はさすがに疲れたよ」


どうやらよっぽど
お仕事が大変だったみたい

いつきさんは
脱力するようにため息をついた後
苦笑いを浮かべる


……きっと
私の事も、ずっと気にしてくれてたんだろうから
余計に疲れたはず



……あ。そうだ



「良かったら食べてみてください」


冷蔵庫から持ってきた
マシュマロチョコプリンを
いつきさんの前に差し出す


「……これ、ひなたちゃんが作ったの?」

「はい。まこちゃんと練習して
……仲直りのきっかけになればって」
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