白雪姫に極甘な毒リンゴを

「七星、明日の花火大会、楽しみだね。
 ちゃんと浴衣着てよ」


「わかってるよ」


「私たちが付き合い初めて、
 最初の花火大会なんだからね。
 七星も気合を入れて来てよ」


 クルミちゃんの言葉に、
 目の前が真っ白になった。


 七星くん……

 クルミちゃんと付きあっているんだ……



 良かったね、七星くん。

 好きだったクルミちゃんが
 彼女になってくれて。


 そんな天使みたいなことを一瞬思ってみた。


 でも、そんないい子状態はでいられたのは
 一瞬だけ。


 だって今でも私は、
 やっぱり七星くんが好きだから。


 
 七星くんと花火大会、行きたかったな。


 桃ちゃんがくれた、天の川の浴衣を着て、
 七星くんとお揃いのネックレスをして、
 一緒に夜空に煌めく花火を見たかったな。


 七星くんとクルミちゃんが
 付き合っていることが、
 クラスのみんなの耳に入った。


 もちろん、桃ちゃんの耳にも。


 桃ちゃんが心配そうな顔をして、
 私の席まで飛んできた。


「六花? 大丈夫?」


 桃ちゃんのその顔、
 もう気がついているみたいだね。


 七星くんがクルミちゃんと
 付き合いだしたことに、
 私がショックを受けていることを。


 桃ちゃんは何を思ったのか、
 突然大きな声でしゃべり出した。
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