白雪姫に極甘な毒リンゴを

 理科準備室の前に着いた。


 勇気を出して来てみたけど、
 ドアを開ける勇気までは残っていないよ。


 本当に私宛のメッセージだったのかな?


 クルミちゃんと
 いちゃ付きたくて書いたのに、
 私のところに飛んできちゃったって
 オチじゃないよね?


 考えれば考えるほど、
 本当に来て良かったのか不安になる。


 あ~

 やっぱりダメだ。



 誰もいない廊下で回れ右をして、
 教室に戻ろうとした時
 ゆっくりと、理科準備室のドアが開いた。



「りっちゃん……」



 今にも消えそうな声にドキリとして
 振り返ると、
 真剣な瞳をまっすぐ私に向ける
 七星くんが立っていた。


 私を見つめる瞳が、なぜか悲しそうで、
 七星くんと絡み合った視線を
 外すことができない。


「話したいことがあるんだけど……
 ちょっとだけいいかな?」


 そんな辛そうな瞳で見つめられたら、
 嫌なんて言えないよ。


 私はコクリとうなずいて、
 七星くんに続いて
 理科準備室のドアをくぐった。
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