白雪姫に極甘な毒リンゴを
 
 もう一度寝返りをうって、
 お兄ちゃんの顔を見つめてみる。


 いつ見てもお兄ちゃんの顔は、
 綺麗だなって思う。

 
 女の子たちがキャーキャー言うのもわかるし、
 お兄ちゃんに悪魔が乗り移ってなかったら、
 私にとっても自慢の
 カッコイイお兄ちゃんだったと思う。


 でも最近は、ちょっと角が取れて、
 優しくなったなって思う時もあるんだけどね。


 私がそんなことを思って微笑んでいると、
 ピタッと閉じていた瞳が、
 真ん丸なビー玉のように、パカッとあいた。


「ひゃ~~」


「ひゃ~、じゃねえよ。
 怪物が出たみたいに、俺のこと見んなよ」


 笑いもしないで、
 無表情に言い放ったお兄ちゃん。


 とりあえず、
 この状況を教えてもらわないと。

 
 私はガバッとおきあがり、
 ベッドの上で正座をした。


「あの~ なんで私がベッドで寝ていたか……
 お兄ちゃんは知っている?」


 ひえ~


 カラスみたいに冷たい瞳が、
 私を見つめているんですけど。


「知ってるに決まってんだろ。
 俺が運んだんだから。六花をベッドまで」


「へ?」
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