白雪姫に極甘な毒リンゴを
「これ、毒リンゴじゃないですから」
毒リンゴ?
さすがに、そうは思わなかったな。
予想外の言葉に、
フフッと声に出して笑ってしまった。
「俺、千都(せんと)って言います。
………一目惚れです」
一目ぼれ?
それって……私に?
あまりに信じられなくて、
言葉なんて出てきてくれない。
「泣いている姿見て、
このリンゴ飴あげなきゃって
思っちゃいました」
へ?
これは、現実ですか??
こんなかわいくもない私が、
いきなり一目惚れされるなんて
絶対にありえない。
罰ゲームかも。
罠かも。
着いていくと、
ものすごい高い化粧品とか
売りつけられちゃうのかも。
でも……
千都くんの切なそうな瞳が、
七星くんに思いを伝えた時の自分と重なる。
これは、
神様がくれたチャンスかもしれない。
七星くんのことが忘れられずに
ウジウジしている私を見かねて、
新しい恋を授けてくれたのかも。
好きな人を忘れるための恋。
そんな恋があっても、
いいのかもしれない。
私がリンゴ飴を受け取ろうとした時、
誰かが先にリンゴ飴を奪った。
「六花のこと、誰にも渡す気はないから」
え?
その声を聞いた瞬間、
誰かはっきりわかった。
でも……
そんなこと言うなんて、おかしいよ。
そうでしょ?
お兄ちゃん。