白雪姫に極甘な毒リンゴを
『かわいい髪飾りを ありがとう』
『探しに来てくれて ありがとう』
『私のお兄ちゃんでいてくれて ありがとう』
お兄ちゃんはその紙飛行機を
クシャクシャに丸めて、
私にやっと聞こえる声で言った。
「別に。
大したことしてねえし」
照れくさそうにしているお兄ちゃん。
顔もだんだん赤くなってきたような。
お兄ちゃんって、
いっつも堂々としているくせに、
私が素直にお礼を言ったりすると、
照れたりすることもあるんだよね。
なんか、かわいいなって思ってしまった。
もっと、お兄ちゃんのかわいい顔が見たいな。
困らせたいな。
私の体の中に住む、
いたずら虫が冬眠から目覚めたみたいで、
お兄ちゃんが突っ込まれたくないところを
つっこんでみた。
「お兄ちゃん、
好きな子を誘わなくて良かったの?
花火大会」
さっきまで真っ赤だったお兄ちゃんの顔が、
ぐんぐん曇り出した。
「誘ったし……」
え??
お兄ちゃん、
好きな子を花火大会に誘ったんだ!
それなのに、妹と親友と行ったってことは、
断られたってこと??
お兄ちゃんを困らせちゃおうと
活動を始めたいたずら虫をもう一度冬眠させ、
私はほぼ空っぽな脳みそを使って、
必死に考えた。
そう言えば……お兄ちゃんが好きな子って……
クルミちゃんだった!!