白雪姫に極甘な毒リンゴを
甘々りっか
☆一颯side☆
『お兄ちゃんに甘える』発言から、
34時間が経過。
六花がいつ、どんな風に甘えてくるのか
ドキドキしながら過ごしていたけど、
一向に甘えてくる気配なし。
俺は学校に行く準備をするため、
階段を降り、リビングのドアを開けた。
「お兄ちゃん、おはよ!」
うっ!!
なんだ?
六花のこの眩しすぎる笑顔は!!
いつもだったら、
『怖い俺にオドオド』か
『ムカつく俺にしょうがなく』
この二つのどちらかを含んだ
『おはよう』なのに。
「お兄ちゃん。
今日のお弁当にね、お兄ちゃんの好きな
唐揚げを入れといたよ。
朝から揚げたんだから。偉いでしょ?」
なんなんだ?
この、俺の機嫌を取るような態度は?
飛び切りの笑顔で
微笑んでくれるのは嬉しいが、
裏がありそうで怖すぎる。
触らぬ神に祟りなし!
六花は前科があるからな。
俺のためとか言って、
オムライスのデミグラスソース掛けを作って
俺を喜ばしておきながら、
『男の子をこの家に呼んでいいかな?』と、
七星をこの家にあげることになったあの事件
六花の笑顔の裏に、
どんな企みがあるのか怖くて、
家を出るまで六花を無視し続けた。