白雪姫に極甘な毒リンゴを
☆一颯side☆
いや~
最近の六花には、
困り果てているんですけど……
か……可愛すぎて……
今日も俺がバイトから帰ってくるなり、
俺の背中にピタッとくっついてきた六花。
「六花、そんなくっつかれたら、
歩きにくいじゃねえか」
「え? 嫌?」
い……嫌じゃねえよ。
こうやって歩くと、
たまに六花に足を踏まれるけど、
イラッとはしないくらい嫌じゃねえよ。
むしろ……
嬉しいっていうか……
ずっと、このままでもいいっていうか……
あ~ ダメダメ!
ここは悪魔一颯になって
六花を遠ざけなくては。
俺は六花の兄として
生きていかなきゃいけないんだ。
死ぬまでずっと。
抱きしめたくなるくらいかわいい六花に、
『どっか行けよ!』と怒鳴ろうとした時、
ささやくような柔らかい声が耳に届いた。
「お兄ちゃん……
一緒にオムライスを作ってほしいな……」
俺が後ろを振り向くと、
ハムスターみたいなウルウルの瞳で
俺を見上げる六花が。
これは反則だ!
こんな守ってあげたくなるような
かわいい瞳でお願いされて、
断れる男なんているのか?
いないだろ?
無意識に、女の武器を使ってくるところが、
六花の恐ろしいところだ。
俺は急に怒鳴れなくなって、
悪魔モード弱で六花に言った。
「オムライスは俺が作ってやるから、
デミグラスソースは六花が作れよ」
俺の言葉に、みるみる瞳が輝きだした六花。
「お兄ちゃん、ありがとう!!」
「腕に抱きついてくるんじゃねえよ」
「だって、お兄ちゃんと一緒に料理作れるのが
嬉しいんだもん」
か……かわいい……
天使みたいなこの笑顔、
誰にも見せたくねぇ。
この家の中から、
1歩も六花を外に出したくねぇ。