白雪姫に極甘な毒リンゴを
ん?
桃ちゃんの言ったことを整理しよう。
六花が北海道に行かないように、
俺に協力を依頼してきた。
それは何の問題もない。
で、俺に手伝えと。
紫音か七星のどちらかが、
六花の彼になるように。
は?
は?
は?
そ……それは……
無理なおねがいだろ!!
俺は逆に抹殺したいくらいなんだから。
六花に近づく男どもを全て。
俺はどうしたらいいんだ。
そうだ!
こういう時に頼れるのは、十環しかいない。
俺は半泣き状態で十環を見る。
「楽しそうだね。
桃ちゃん、俺もお手伝いしてもいいかな?」
アイツ、俺をあっさりと裏切りやがった。
お互いのことを分かり合っている親友よりも
目つきが鋭いわりに、
心を開いて微笑まれると
ハートを持っていかれそうなくらい
美人の桃ちゃんに行っちゃうのかよ。
俺は十環への期待をあきらめ、
ため息をついてから桃ちゃんに聞いた。
「で、俺は何をすれば言いわけ?」
「一颯先輩は、今まで通り
六花にきつく接してくれればいいです」
は?
何でだよ?
それだと、
六花が余計に俺のこと嫌いになって、
北海道に行くって言いだすんじゃ
ないのかよ?
「逆効果じゃね?」
「フフフ……
一颯先輩、乙女心をわかっていませんね。
一颯先輩が継母みたいに、
シンデレラにきつく当たればあたるほど、
王子様がカッコよく見えるんですよ!!」
なんじゃそれ!
それじゃ俺は、ただの悪役じゃん!!
二人の王子をかっこよく見せるための、
生贄じゃん!!
「一颯、気を付けて。
桃ちゃんみたいな子ってさ、
やると決めたら徹底的にやるからね」
おい! 十環!
気を付けてって言った割に、
口角あがってんじゃん。
この状況を、
一番楽しんでいるのがお前だって、
バレバレなんだよ!
「俺さ、どうしたらいいと思う?」
「ん? 簡単だよ。
二人の王子様が
りっちゃんを狙ってくるんだよ。
取られる前に、
自分の物にしちゃうしかないんじゃない。
例えば……
りっちゃんに告白しちゃうとか」
「え……
ええ~~~~~~~~~!!」
神様。
いえ、六花が最も大好きな亡きお母さま。
どうか教えてください。
俺はいったい、
どうしたらいいんでしょうか……