白雪姫に極甘な毒リンゴを

「クルミちゃんとは付き合えない」


「え? 
 ど……どうしてですか?」


「桃ちゃんが俺のことを
 どう言ったのかは知らないけど、
 俺さ、女の子をキュンキュンさせる言葉を
 言う男って大嫌いでさ。

 甘い言葉なんて絶対にかけないし、
 俺が女に甘えることも絶対にしない。 

 それにさ……

 自分の夢を叶えるまで、
 誰とも付き合わないって決めてるから」


 クルミよ。


 お前が理想としている男像と、
 全然違うだろ、俺は。


 お前には七星がお似合いだよ。


 七星と付き合い続けてくれれば、
 ライバルが一人減って俺は万々歳だし。


 悪いことは言わないから、
 七星のところに戻りな。


 俺の心の声は、
 今日一番の笑顔で伝えてみた。


 って、こんなんじゃ伝わらないことは
 百も承知だけど。


「一颯先輩って……

 男らしいんですね!」


「は?」


「やっぱりかっこよすぎです。

 甘い言葉を平気で言う男って、
 信用できないですもんね」


 オイオイ……


 さっき、
 七星を振って俺に来た理由を言ってたよな。


 キュンキュンすることを言ってくれて、
 甘える男が良いって。


 あれ、何だったんだよ。


「それに、
 夢に向かってひたむきに努力しているって
 ところにキュンときちゃいました。

 私、一颯先輩の夢が叶うまで、
 一番近くで応援しますから」


 怖え~


 女って怖え~


 勝手な妄想で、
 ここまで突っ走れるところが。


 そんなこんなで、
 俺の隣に、
 クルミがピタッとくっつく日々が
 始まったのである。


 夏休みの時は、
 六花がくっついてくれていたのにな……


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