白雪姫に極甘な毒リンゴを
桃ちゃんとの亀裂

☆六花side☆

 2学期に入り、
 私の周りがなにかおかしい。


「桃ちゃん、六花ちゃん、
 早くお弁当食べようよ。 お腹すいたよ」


 今まで話しかけてくることなんて、
 めったになかったクルミちゃんが、
 私たちによく
 話しかけてくるようになった。


 桃ちゃんだって、
 私以外には微笑みかけるなんてしない
 人だったのに。


「クルミの卵焼き、一個ちょうだいね」って、
 笑いながら話しているし。


 クルミって呼び捨てで呼んでいるし。


 これって……

 嫉妬だよね……


 今まで桃ちゃんは、
 私だけと一緒にいてくれたから、
 クルミちゃんと仲良くしているのを
 見るのが辛いんだ……私……


 それにもう一つ、
 私の心をぎゅーってしめつけることがある。


 それは
 クルミちゃんがお兄ちゃんと
 仲良くなったこと。


 毎朝クルミちゃんが、
 ピンポーンと家のインターフォンを押して、
 お兄ちゃんと学校に行く。


 帰りも二人で。


 何でだろう……


 お兄ちゃんにもう甘えるのはやめようって
 決めたのは自分なのに、
 夏休みの間、
 嫌々でも私の隣にいてくれたお兄ちゃんが、
 今はクルミちゃんの隣にいるところを見ると、
 息を吸えないような苦しさで、
 胸が締め付けられる。


 お兄ちゃんはお母さんが亡くなった日のことで
 私をずっと恨み続けている。


 嫌われ続けていることだって、
 ちゃんとわかっている。

 
 だから、北海道に行くって決めたのに。


 お兄ちゃんの苦しみを、
 少しでも和らげてあげたいと思っているのに。


 どうして、
 ふとした瞬間に思っちゃうんだろう。


 私……

 お兄ちゃんと離れたくないなって。
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