白雪姫に極甘な毒リンゴを
次の朝、
1番乗りで教室に着いちゃった私。
なぜか鼓動がドキドキしている。
どうしよう……
七星くんが席に来たら、
挨拶をした方がいいよね……
もう七星くんのことは
好きじゃないはずなのに、
なぜか意識してしまう自分がいる。
そうだよ。
『おはよう』って言えば良いんだよ。
その4文字だけ言って、
あとは本でも読んでいれば……
ただ挨拶をするだけなのに、
何回も頭の中でシュミレーション。
そんなことをしているときに、
七星くんのが教室に入ってきた。
ニコっとして『おはよう』……
ニコッとして『おはよう』……
七星くんが隣に来た気配を感じ、
笑顔を作ろうとしたその時
「赤城さん、クマが好きなの?」
「え?」
「それとも、サケが好きとか?」
七星くんの言っている意味が、
よく分からないんですけど……
「雪って恐ろしいよ。
一歩歩くだけで、
足がズボって雪に埋もれて
動けなくなっちゃうかもよ。
そして誰にも気づかれずに、
吹雪の中でパタリって……」
「七星くん? 」
「あ……ごめん。
俺、変なこと言っちゃったよね。
昨日見たテレビのせいかな」
七星くんは、
あわてて手のひらで口許を隠すと、
自分の席に座った。