白雪姫に極甘な毒リンゴを


 今日の授業も終わり。


 桃ちゃんも、
 前の席のクルミちゃん笑いながら
 帰りの支度をしている。


 いつも、
 家の呉服屋さんの手伝いをするために、
 どこにもよらずに帰る桃ちゃんだけど、
 ちょっとだけでいいから、
 二人だけで話したいな。


 そんなわがまま、
 聞いてもらえないかな?


「桃ちゃん……ちょっといい?」


 私の細々とした声に、
 クルミちゃんとの会話をやめて
 こっちを見てくれた桃ちゃん。


「あ……あのね……
 桃ちゃんに話したいことがあって……

 今からって時間ある?」


 私の言葉を聞いて、
 目を見開いた桃ちゃん。


「今からは……」


「そ……そうだよね。
 お家の手伝いをしなきゃいけないもんね」


 私の言葉に、目を伏せた桃ちゃん。


「六花、その話を聞くの、また明日でもいい?」


「あ……うん。 じゃあ、また明日ね」


 桃ちゃんは、
 いつもなら走って帰って行くのに、
 なぜか今日は、
 クルミちゃんと肩を並べて
 教室から出て行った。


 なんでかな?


 桃ちゃんとクルミちゃんのことが、
 気になってしかたがないよ。

 
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