白雪姫に極甘な毒リンゴを

「六花は、私を都合のいい友達って
 思っているでしょ?」


 え?


 都合のいい……友達?


「思ってないよ!そんなこと!」


「絶対に思ってる!

 悲しくなったら私のところに飛んできて
 なぐさめてもらって、
 平気になったら一人で遠くに行っちゃう」


 一人で遠くに行く?


 なんのことを言っているの?


「六花は一人ぼっちでいたくないから、
 私の隣にいただけでしょ?」


 その言葉を聞いて、
 熱風が噴き出ていた頭が、
 一瞬で冷やされた。
 

 そんな風に思っていたんだ……


 桃ちゃんは私のことを、
 友達とすら思っていなかったんだ。


 それなのに私は勝手に、
 親友だって思い込んでいたんだ。


 そんなことにも気づけなかったなんて、
 本当に私、バカだ。


「勝手に親友だと思っていて、ごめんね」


 私はそう言い残すと、
 急いで荷物をかばんに詰め込み、
 教室を飛び出した。

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