白雪姫に極甘な毒リンゴを

 前半戦が終了。


 女子たちの話しからすると、
 10分間の休憩時間があるらしい。


 もう一度、桃ちゃんがいないか
 観客席をぐるっと見渡すと、
 一番端の席に、
 ぽつんと一人で座っている人が。


 全身黒ずくめ。


 黒いマスクに、黒いキャップをかぶっている。


 間違いない
 あれは、桃ちゃんだ。


 謝らなきゃ。

 今すぐ謝らなきゃ。


 だって私、
 桃ちゃんのことが大好きで
 しかたがないんだから。


 そう思った時には、
 席を立って駆け出していた。


 桃ちゃんのところまであと少し。


 それなのに、なぜか人の壁に阻まれた。


 え? 


 ぜ~ぜ~と息を切らしながら、
 私の前に飛び出してきたこの集団。


 併せて10名ほど。


 紫音くんとバスケの試合をしている、
 相手のチームさんだよね?
 
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