白雪姫に極甘な毒リンゴを

「お久ぶりです!! 桃華さん!!」


「おう」


 え……と……

 昔の知り合いに、
 久々の再会って感じかな?


「桃華さん、俺たちの試合を、
 わざわざ見に来てくれたんですか?」


「は? お前らなんて、見に来てねえし。

 ってか、なんでだよ? 

 こんだけ変装してれば、
 私だってばれないって思ったのに」


「桃華さんは、変装なんて無理ですって」


「そうですよ。 
 オーラがにじみ出てますからね。

 今すぐライオンを食い殺してやるって感じの
 オーラが」


「は? どんなオーラだよ」


「俺たち、
 桃華さんの高校で練習試合ができるって聞いて
 テンション上がりまくりだったんですからね」


「この練習試合が終わったら、
 桃華さんの高校の奴を捕まえて、
 桃華さんの学園ライフを聞き出す
 つもりだったしな」


「お前ら、いいか。

 中学で番はってたってこと、
 この高校の奴らには内緒にしてんだからな。

 私の秘密をバラしたら……殺す!」


「ひゃ~ 
 桃華さんの殺す!久々に聞いたわ~」


「今のしびれました~
 もう一回言ってください」


「前半の試合で、
 点差つをけられてる分際がほざくな。

 聞いてほしい願いがあるなら、
 バスケで相手チームを叩きのめしてからだな」


「桃華さん……
 俺たちのこと、応援してくれますよね?」


「当たり前だろ。
 一応、中学の時の仲間だからな」


「桃華さ~ん」


 目の前の男子たちが、
 みんなで桃ちゃんに抱き着いている。


 さっきまで、
 男らしくコートを走り回っていた方たちが、
 今は、か弱い女子に見える。


 って……


 私の前にいた男の子が、
 急にひざまずいたから、
 桃ちゃんに見つかっちゃったし。


 私が、男の子たちの後ろに隠れて、
 盗み聞きしていたこと。


 確実に桃ちゃんと目が合ったけど、
 私は急いで、紫のタオルで顔を隠し、
 その場にしゃがみ込んだ。


 桃ちゃんにバレバレだよね。


 さっきの男の子たちに怒っていたみたいに、
 私も怒鳴られちゃうよ。


 試合がはじまるからと、
 桃ちゃんの前から去っていく男の子たちの
 足跡を聞きながら、
 私はその場にしゃがんだまま固まっていた。


 そのとき


「六花……バレバレだけど」


 ドスの聞いた低い声。


 どうしよう。


 やっぱり桃ちゃん、怒っているよ。


 謝らなきゃってわかっているのに、
 顔を隠しているタオルをとる勇気すらない。


 そのとき
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